「下痢」

急性の下痢、慢性の下痢ともに適切な解決策が存在

急性の下痢と慢性の下痢では、病態が大きく異なります。急性の下痢は、ほとんどが外因性のものでウイルスや細菌などが原因ですが、ウイルス性のものが大勢を占めます。慢性の下痢は、原因がよく分からないものが多いのですが、急性に比べて内因、つまり患者さんの体質的なものが原因といえます。

特に最近は、高ストレスや高化学物質の暴露などによって、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎などの病態が急速に増えています。これらの病態に対して、漢方的、栄養学的な視点で解決策を見つけたいと思います。

急性の下痢

漢方的な観点
まずは脱水防止の観点から、利水剤を使用して腎血流を保持して尿量を確保します。その漢方は五苓散(ごれいさん)、胃苓湯(いれいとう)などです。また、腸内のウイルスや悪玉菌に対して殺菌的に作用する生薬を含んだ漢方を使用しますが、その漢方は半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などです。
栄養学的な観点
ウイルスや細菌などの微生物に対して殺菌的な作用をするビタミンは、何といってもビタミンCです。口から、あるいは注射によって大量にビタミンCを投与すると、ウイルスなどの駆逐にも効果的なうえ体の抗酸化にも効果がありますから、一挙両得的な意味合いがあります。

慢性の下痢

漢方的な観点
精神的にまじめで急な仕事が入ったときなどにいつも下痢をする方は、精神的なストレスを軽減する半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が効果的です。お腹が冷えていつも下痢のある方は、大建中湯(だいけんちゅうとう)が効果を発揮しますが、さらに背中の冷えやふらつきなどがある方は、真武湯(しんぶとう)が効果的です。また、胃下垂などの症状を併発している方の下痢については、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が効果的です。
栄養学的な観点
慢性の下痢は腸の機能として最も大切な栄養素は必須アミノ酸であるグルタミンです。このアミノ酸は腸のエネルギー源としてだけでなく修復などにも効果を発揮します。アメリカなどの医療機関では外科的な手術に際してこのグルタミンを手術前に内服させることによって合併症を防ぐようにしています。また腸内の細菌層は100兆個あり
ます。この中で菌の種類に乳酸菌などの善玉菌と腐敗を促進する悪玉菌があります。前者の善玉菌を増やすことは下痢や便秘などの便通異常を改善するだけでなく大腸がんや乳がんなどの悪性新生物の発生を防ぐ効果もあります。
この細菌層を善玉菌を多くするのはプロバイオティックスとプレバイオティクスです。前者のプロバイオティックスは善玉菌そのものをさしています。食物でいえば発酵食品です。発酵食品といえば納豆、ヨーグルト、キムチなどです。後者のプレバイオティックスはこの善玉菌を増やす食材をさします。食品でいえばオリゴ糖や食物繊維を多く含む野菜ということになり、玉ねぎ、ゴボウ、キャベツ、ネギ、ニンニクなどがあります。ビタミンCは腸内細菌に対しても善玉菌を増やす効果があります。

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