肩こり

肩こりの症状と原因に合わせて最適な治療法を選択

一口に「肩こり」といっても、その状態・原因は様々です。病態も複雑であるため、万人に受け入れられる治療法がないのも現実です。ここでは、「肩こり」に対する当院の考え方と治療の方針をご紹介します。

訴えの内容を聞くことからスタート

肩こりの訴え
訴えの内容は原因と密接な関係があり、まずはそれを詳細に聞くことが大切です。

  • 手足の冷えと肩こりがある。
  • 足は冷えて顔がほてり、肩こりがある。
  • 肩こりが常にあり、ひどくなると頭痛がしてくる
  • 肩こりが左右のどちらかにあり、腕や肘・手に痛みや痺れがあって肩を上げると楽になる。
  • 肩こりが左右のどちらかにあり、腕や肘・手に痛みや痺れがあって肩を上げるとひどくなる。
  • 最近疲れがひどく、肩こりがつらい
  • 長年肩こりに悩み、いろんな治療をしても効果がない。
肩こりの状態
肩こりの状態もまた原因と密接に関係していて、詳細な分析が必要です。

  • 太い筋肉全体がこっている状態
  • 筋肉の中に硬い層がある、または線状にこっている状態
  • 肩の中に硬いしこり(硬いかたまりの様なもの)がある状態
肩こりの原因と治療方法
肩こりの訴えとの連携から原因を推測してみましょう。

  • 手足の冷えと肩こりがある。
    このタイプの肩こりは若い女性(生理がある)に多く、状態としては、筋肉の中に硬い層がある、または線状にこっているような印象です。鉄不足が基本的にあると思われ、栄養療法が良く適応します。また、胃腸障害を併発しているケースが多いため、漢方的なアプローチによる脾虚、血虚にも良く適応します。理学療法としては、筋力の低下があり、筋肉の刺激性が亢進しているため、やさしいアプローチが必要となります。
  • 足は冷えて顔がほてり、肩こりがある。
    このタイプの肩こりは、更年期以降の女性に多い印象です。生理がある間は鉄不足に悩まされて(1)のような状態にあったものが、更年期に入って生理がなくなり、生理で失われていた「血液」が戻ってくることから起こる肩こりです。生理があったときに比べて相対的に「多血症」になるため、「血液の粘度」が短期間に増加し、末梢の循環不全に陥ることによるこりと考えてよいでしょう。そのため、このタイプの肩こりには漢方的なアプローチとして駆瘀血剤が良く適応します。理学療法としては、女性であることから、やはりソフトなアプローチが必要となります。
  • 肩こりが常にあり、ひどくなると頭痛がしてくる
    このタイプの肩こりは仕事をがんばっている方に多く、肩や頭を支える首の後ろの項筋といった筋肉の緊張状態の持続時間が長く、筋肉に乳酸がたまってこりや痛みを訴えている印象です。働き盛りのサラリーマンや育児疲れのお母さんに多く、このタイプの痛みはひどくなると吐き気を起こすこともあります。頭が痛いため、最初に「脳外科」を受診して「筋緊張性頭痛」の診断を受け、「痛み止め、筋肉の緊張を取る薬剤」などを処方されてから、結局治らないということで当院を受診するケースが多いようです。
    このような方の理学療法としては、首の後ろを徒手的に支えて筋肉の付着部をもみほぐしながら、手でやさしく牽引してあげると効果的です(機械による牽引は悪くなることがあり、当院では行いません)。理学療法は効果的ですが、またすぐに再発するような方には、根本的な原因を検索する必要があります。漢方・栄養学的な観点から見れば、女性は血虚や鉄不足、男性は脂肪肝が原因である可能性が考えられます。
  • 肩こりが左右のどちらかにあり、腕や肘・手に痛みや痺れがあって肩を上げるとひどくなる。
    このタイプの肩こりは、頚椎に原因がある場合に多く見られます。頚椎に原因がある場合、頸椎の神経の圧迫によって炎症が起こり、その刺激が筋肉の筋緊張増加につながってこりや痛みを引き起こします。この場合、多くはしびれなどの感覚障害を伴います(しびれがない場合もあります)。そして特徴的なのは、こりや痛み・しびれのある側の上肢を挙上すると症状の軽減が起こるということです。後述する(5)のタイプと決定的に違うのはこの点です。
    理学療法としては、徒手的に頚椎牽引を行って肩周囲の筋肉を理学療法の技術によりやさしく扱い、「筋肉の緊張」を取って頚椎にかかる負担を軽減します。漢方・栄養学的なアプローチとしては、全身状態、血液検査などを参考にしながら決定します。
  • 肩こりが左右のどちらかにあり、腕や肘・手に痛みや痺れがあって肩を上げるとひどくなる。
    このタイプの肩こりは、多くの医療機関で(4)の頚椎由来と間違われて治療されているケースがあります。「しびれがあれば神経由来」という先入観が、間違った治療へとつながっていきます。このタイプでは、肩を上げるとひどくなるという点が重要なポイントです。(4)の頚椎由来の場合とまったく逆ですが、その原因は肩関節の「拘縮」です。つまり、肩の動きの範囲が低下して悪くなっているということです。教科書的にいえば「五十肩」ということになりますが、典型的なものは少なく、詳細な問診と検査が必要になってきます。
    理学療法としては、動きを良くするということになりますが、患者さんたちが予想されるような「痛いリハビリ」はまったく意味がなく、でき得るかぎり痛くないようなアプローチを選択することが大切です。漢方・栄養学的なアプローチとしては、予想外に血虚、鉄不足が見つかることが多いようです。また、糖代謝異常の合併は常に念頭に置くべきで、血液検査が重要な要素となります。この糖代謝の問題はビタミンB不足を併発することが必至であり、漢方・栄養学的なアプローチを行うことで、体の疲れや様々な愁訴の改善につながることがあります。
  • 最近疲れがひどく、肩こりがつらい。
    このタイプの肩こりは、疲れそのものが原因と考えます。しかし、疲れとは何でしょうか。当院の患者さんで多いのは、「親の介護疲れ」「育児疲れ」「仕事の疲れ」などです。これらの出来事で実際に何が起こっているのかを問診・血液検査・触診などから分析し、疲れが及ぼしているものを探っていきます。
  • 長年肩こりに悩み、いろんな治療をしても効果がない。
    上記(1)~(6)のどのタイプにもあてはまる肩こりですが、その程度がひどく、長年積み重なったストレスで肩こりを回復するひまがない状態ではないかと思われます。こういう方は、肩の中に硬いしこり(硬いかたまりのようなもの)があるケースも見受けられます。理学療法では様々なテクニックを駆使することで、一応その場では肩こりが解消しますが、数日経過するとまた再発します。根本的な問題解決には、漢方・栄養学的なアプローチが必要不可欠です。血虚、気虚、鉄不足などが見られることは当然ですが、中には酸化ストレスが強く、様々な内科的な問題を抱えている方も多く見られ、抗酸化アプローチの適応になると思われます。

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