「疲労感」

漢方・栄養学的な観点から適切な治療法を提示

体がだるい、仕事や勉強をする意欲が湧かないなどの訴えは、最近とても多い印象があります。多くの方が医療機関を訪れて、血液検査、心電図、XP、CT、MRIなどの検査で「異常なし」と診断され、途方に暮れているようです。当院では、漢方的な観点、栄養学的な観点から分析してみます。

漢方的な観点

気虚
いわゆる元気がない状態とみなし、「気虚」の漢方を使用します。四君子湯(しくんしとう)、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方が適応となります。
水毒
体の中に余分な水分が多い場合、手足のむくみや下痢の症状を引き起こし、疲労感につながります。五苓散(ごれいさん)、猪苓湯(ちょれいとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などが、その漢方です。
血虚
気虚に似ていますが、さらに重篤な状態となり、仕事やスポーツの疲れがピークの状態です。十全大補湯(じゅうぜんだいほとう),人参養栄湯(にんじんようえいとう)などが、その漢方です。
瘀血
瘀血は女性特有のもので、生理周期と関連があります。もともと瘀血の病態は血流が滞っている状態を指し、瘀血に伴う疲労感は手足の冷えを伴ったり、精神的なイライラ感を併発します。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などが、その漢方です。

分子整合栄養医学的な観点

鉄不足
鉄不足は生理がある若い女性に多く、ほとんどの若い女性は鉄不足と言っても過言ではないでしょう。しかし、男性でも痔や胃潰瘍がある方は、女性と同じように鉄不足になり得ます。血液検査の中で、ヘモグロビン、フェリチン、MCVなどの値によって判断し、ヘム鉄が有効です。
ビタミンC不足
ビタミンC不足によって出現した壊血病は、15世紀の遠洋航海時代の船乗りの病でしたが、現代でも食品の高化学物質含有や高ストレス時代のため、ビタミンCの需要は高く、多くの方がビタミンC不足に陥っています。元来、ビタミンCは副作用のほとんどないビタミンです。疲れがある方は、まずビタミンC不足を疑ってみるべきでしょう。
ビタミンB不足
大量にお酒を飲む方、甘いものが大好きな方、スポーツや勉学でがんばっている方などは、ビタミンBが不足していると言えます。我々のエネルギーはATPによって得られるのですが、このATPの産生は、ビタミンBなしでは不可能なのです。そのため、ビタミンBを内服すると急に元気の出る方は少なくありません。ビタミンBは単独ではなく、B1、B2、B3、B5、B6、B12、ビオチン、葉酸という8つのビタミンBからなり、それらを含有するビタミンB群から摂取しないと、効果は少なくなります。

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