新型コロナウイルスにかからないための漢方
- 新型コロナウイルスにかからないための漢方
~古くて新しい薬剤として~
忘れられた漢方~感染症に対して~
- 古代より感染症は多くの死人をだす「伝染病」として恐れられていた。漢方単独では「伝染病」に対抗するにはあまりに無力であった。結核に対するストレプトマイシンは著効してから漢方は医療の隅に追いやられ、医師も漢方を使おうなどという発想自体が消えていたようだ。しかし近年ほとんどの抗生物質が効かない耐性菌や新型コロナウイルスの出現により感染症に対する攻略法を考え直す必要に迫られている。
2020年人類は新たな脅威として新型コロナと戦う局面に入ってきた。
今世紀にはいり2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)と2012年のMERS(中東呼吸器症候群)と今回の新型コロナで3度目の新型コロナ感染に人類は襲われている。
ウイルスは元来喉や口腔から侵入して上気道(口腔から喉のあたりまで)に侵入して上気道で免疫にて撃退できれば、いわゆる「鼻風邪」「喉風邪」とよばれる段階で治ってしまう。しかしそこで免疫のバリアーを突破して下気道(気管・気管支・肺胞)に入ると気管支炎、肺炎と呼ばれる段階に入ってしまう。通常の細菌性肺炎と違い新型コロナなどのウイルス性肺炎は間質性肺炎と呼ばれる肺炎となり治すのが難しくなる。そして最も重要なことはウイルス性肺炎には現段階でインフルエンザを除き特効薬ははまだないということである。
新型コロナウイルス感染に対する特効薬として候補に挙がっているのは大きく分けて2種類あり1つはアビガンなどのように抗ウイルス作用(ウイルスの増殖を抑える)を持つものとさらに重症度が増し下気道までウイルスは侵入し肺炎の段階で激烈な免疫反応によって強い炎症をおこっている状態を改善させる免疫抑制作用(肺炎の段階で起こっている激烈な炎症を抑える)を持つものになる。
別の言い方をすれば軽症の段階では抗ウイルス作用(ウイルスの増殖を抑える)が効果を発揮し間質肺炎などの重篤な段階に入れば免疫抑制作用(肺炎の段階で起こっている激烈な炎症を抑える)の薬剤が効果を発揮するということである。
この時に軽症の段階で免疫抑制作用(肺炎の段階で起こっている激烈な炎症を抑える)の薬剤を投与すればウイルスの侵入を助長するためむやみやたらに免疫抑制剤は使えないため、その選択と使用は専門家に判断を委ねることが必要となる。 - 新型コロナウイルスにかからないためには漢方のできること
どのウイルスも体内に侵入したときにはおこる免疫反応とはまず体温を上げることである。元来ウイルスは熱に弱く37度を超えると不活化しだす。上気道(口腔から喉のあたりまで)より下気道(気管・気管支・肺胞)のほうが温度は高く新型コロナの生存環境としては過酷なはずである。そのためまず体温を上げることは新型コロナウイルス対策としては
重要なポイントであろう。そして免疫を上げるもう一つもポイントは栄養状態を改善することである。
1.体温を上げる漢方
体温を上げることは最も簡単なウイルス対策であろう。ウイルスは37度を超えると不活化してくることが解っている。漢方的に最も簡単に体温を上げることができるのは「麻黄」という生薬を含む漢方である。
代表的な麻黄剤として葛根湯が良く知られているがインフルエンザ時に使用される麻黄湯も有名である。老人で寒気がして冷えが強い方には麻黄附子細辛湯などが著効する。
麻黄剤:葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯
手足の冷えが強く夏でも靴下をはいて寝るような方には当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓姜朮甘湯などが効果がある。
2.消化機能が弱くて免疫が弱いとき
消化機能が弱い方はどうしても食欲が低下してあまり多くを食べれない。このような方には食欲を増す漢方として
六君子湯や補中益気湯などが効果を発揮する
3.いつも下痢気味な方
消化管の中で小腸・大腸の機能が体質的に弱い方はストレスや気温の低下にて下痢になられる方が多くおられる。下痢は食べたものを消化できなくためいくら食べても栄養にならないため免疫力は低下する。そこでお腹の冷えを改善する漢方として人参湯、真武湯などがお腹を温めて下痢を改善する。
ここで上げた漢方は下記のごとくである。使用は証を診ながらすることがとても大切である。
麻黄剤:葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯
手足の冷え:当帰芍薬散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓姜朮甘湯
食欲低下:六君子湯、補中益気湯
消化機能が元来弱く下痢気味:真武湯、人参湯