新型コロナウイルスとワクチン

新型コロナウイルスとワクチン
非事態宣言が解かれ普通の日常に戻れるのは新型コロナウイルスに対する特効薬とワクチン開発にかかっている。
元来ワクチンは18世紀ジェンナーが天然痘に対して牛の天然痘つまり牛痘を人に摂取したことが最初であると言われており、感染性をなくしたウイルスや細菌の一部を体内に入れてその病原体への免疫をつけることで実際に感染した際に素早く免疫対応できるようになるためのものだ。
 ワクチンは製造方法によって生ワクチン、不活化ワクチンに大別される。しかしアメリカ、中国などがすでにいくつか開発を試みているものには遺伝子組み換え技術を使ったワクチンがある。従来のワクチン製造ではワクチンを製造する施設が特別なものであったり、製造されたワクチンが人体に無害であると証明がされる必要があるため多くのお金と時間がかかる。それに対して遺伝子組み換え技術を使用すれば施設は特別なものは必要なくなり、病原性も最初から除かれたものを作ることができる。つまり安全なワクチンが時間短縮で作ることができるわけである。見通しとしては今年中にも新型コロナワクチンはできそうな勢いである。そうなれば来年2021年の東京オリンピック開催も確約ができるというシナリオである。しかしそこにはいくつか問題点がある。

新型コロナワクチンの問題点
1. 抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)
2. 重症者肺炎はサイトカインストーム言われる免疫応答によっておこる。
3. 若者や小児では重症者が少ないないのにワクチン接種の必要はあるのか

1.抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)
ワクチン接種によってウイルスそのものを体内に引き込みやすくする現象である。ワクチンによって中途半端にしか抗体ができない時に引き込まれやすくなったウイルスが抗体の量を凌駕すれば感染は重症化する可能性がある。2016年にフィリピンで、フランスSanofi社が開発していたデング熱ワクチンの「Dengvaxia」を接種後に、小児が死亡した原因の1つとして指摘されたことを機に、ADEは業界で広く知られるようになっている。これらの事実から推測できるのは抗体を作る能力が低い免疫低下・低栄養の方や高齢者に起こる可能性がある。
2.重症者の肺炎はサイトカインストーム言われる免疫応答によっておこる。
元来サイトカインとは免疫細胞の分泌する情報伝達物質で適切な免疫応答をするために必要なものだ。ところが重症化した新型コロナウイルス肺炎の場合、過剰な免疫応答が起こり大量のサイトカインが放出され肺の間質と呼ばれる血管、リンパ管や支持組織の部分がサイトカインによる炎症の場となり肺胞と血管の間の酸素の受け渡しができなくなる。そのため重症化した新型コロナウイルス性肺炎の薬剤はこのサイトカインストームを抑制する「免疫抑制剤」となるのだ。ではワクチンをうつとこの反応はどうなるであろうか。確定的ではないがサイトカインストームをさらに助長する可能性は大いにある。やはり免疫系の適切な反応ができない高齢者や免疫低下者に反応は強く出る可能性は高い。
3. 若者や小児では重傷者が少ないないのにワクチン接種の必要はあるのか
新型コロナウイルスの感染者死亡率は2020年4月30日現在アメリカ5.9% 日本2.9% 英国15.8% イタリア13.6%   
ドイツ4.0%である。ならすと約8%となる。2020.4.12日経新聞によれば年代別で死亡率が最も高かったのは80代の9.57%で、90代以上の9.17%、70代の5.7%が続いた。それより若い世代では、60代は1.11%、50代は0.5%、40代は0.17%と年代が低くなると死亡率も下がった。他の統計でも70歳代より明らかに死亡率は上昇し糖尿病、高血圧、喫煙などの要素が増えれば死亡率は上がる。
現在アメリカで新型コロナウイルスの抗体価を測定しはじめているが、抗体価陽性者を感染者に含めると死亡率は一気に1/10-1/100に減ってしまう。これらデータから推測できるのは70歳を超える高齢者と成人病や喫煙などの要素持つ方は新型コロナウイルスに感染すれば死亡する確率が高いが若年者、小児の死亡率はそれほど高くないということである。
子供や青壮年者は感染するが死亡率は低くそれほどの心配はいらないということであろう。彼らにもしワクチンをうつ理由があるとすればリスクベネフィットで考慮してリスクである抗体依存性感染増強やサイトカインストームがワクチンをうつことによって得られる利益を上回っている時のみである。それもただ単に上回るだけでは意味がない。若者はほとんど死なないのであるからワクチンをうつことで感染しなくなるのではなく少ない死亡率がさらに低くなることが要求される。そうなればまだ統計的なものを考慮しなければはっきりしたことは言えないが若者や小児にワクチンをうつメリットはあまりないのではないか。
では重症化リスクの高い方に積極的にワクチンをうつのが適切なのか。抗体依存性感染増強・サイトカインストームなどのワクチンの副作用の頻度から考慮して決断せざる得ないだろう。現時点では何とも判断のしようがない印象である。

地球人類とパンデミックの今後の展望
新型コロナウイルスの死亡率はアメリカや英国、イタリヤなど地域を除けば人口当たりに換算すればそれほど高くなく現在の様に都市封鎖までするほど怖がらなくてもいいのかもしれない。しかし特効薬がない現状ではないもしないでほっとくことはできないようだ。重症化する方が若年者にも少なからずおられる。この方がなぜ重症化するのかを「遺伝子レベル」で解析していけばおのずとワクチンをうたなければいけない方や重症化を防ぐ新たな一手が見つかる可能性がある。私見ではあるが新型コロナウイルスがひっつきやすいタンパクを持つ免疫細胞を持っている方や免疫応答でマクロファージなどの免疫指揮者に脆弱性のある方に重症化が起きやすいのではないだろうか。それこそこれが判明すれば遺伝子操作にて治療の道も開かれる可能性すらある。
これから非常事態宣言後の経済状態は著しく悪くなっている。それこそこのまま非常事態宣言を続けることのリスクと新型コロナウイルスによるリスクを比較しながら選択して我々地球人類は先に進まなくてはいけないのである。

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