がんの発現
がん患者さんから「がん」が消えるということはどういうことであろうか。手術をしてとってしまえばもうこれで終わりであろうか。元来私たちの体にはDNAレベルもしくは細胞レベルで毎日「がん」があらわれては消えることを繰り返している。そのため手術をしてもがん細胞は体の中で「0」になることはないため、手術後も免疫力を上げることは必要だ。
「がん」が現れるのはDNAレベルから始まる。がんの発生にはウイルス・活性酸素をはじめとする様々な原因により「がん原遺伝子」の発現や「がん抑制遺伝子」の損傷などが引き金になりDNAレベルでガン化が始まる。
DNAレベルで出現したものが、さまざまなDNAの監視網をくぐりぬけ細胞レベルでの「がん」になり、慢性炎症などが引き金となり増殖していく。
DNAレベルの「がん」を防ぐにはまずは体細胞の異化(分解)亢進をさせないために十分なタンパク補給と活性酸素の発生にたいする抗酸化ビタミン(E,C,A,Bなど)が必要である。さらに細胞レベルのがんに対してはリンパ球を中心とした免疫細胞が重要な要素となるため、やはりビタミンとタンパクの補給は必須である。
リンパ球がガン免疫の中心になるがリンパ球はタンパクでありその栄養源はグルタミンとよばれる非必須アミノ酸を40%使う。これは脳や筋肉がブドウ糖・脂肪酸を使うのとは違いリンパ球がこのグルタミンを主な栄養源とする点はガン免疫を考える時に重要である。抗酸化ビタミンの投与はガン免疫を上げるのに当然必要であるがグルタミンががん患者の免疫を上げることは経験上よくみられる。
がんの特徴
正常な細胞は周りの細胞とネットワークを持って自分が大きくなりすぎないようにしたり、アポトーシス(自殺)して自分の細胞材料を他の細胞に使いやすくするようなコントロールをしている。正常細胞の分裂回数はあらかじめ決まっており残り分裂回数はDNA末端にある「テロメア」の長さで決定される。(テロメアが短くなると残り細胞分裂回数は少なくなる)
がん細胞は正常細胞のような周りとのネットワークはもたず、自立した増殖をしており、テロメアの長さを短くしないテロメラーゼという酵素を持つため細胞分裂を際限なく続ける。
このためがん細胞の増殖が続けば私たちの体から栄養素を奪い栄養失調となる。
体細胞の異化(分解)を防ぐことは大切
がんの予後を左右する因子として血液検査ではアルブミンが指標となる。アルブミンは卵白を意味する語源で血中のタンパクの栄養指標となる。この値は年を取るにつれて低くなるが壮年期、老年期(50歳以上)では4.5g/dl欲しいが4.0g/dlあれば良しとしてよいだろう。がん患者の指標として栄養状態を高め4.0g/dlを維持するとが肝要であるが最低3.5g/dl以上必要である。(本音はやはり4.0は欲しいところだ)
アルブミン値の上げ方
アルブミンを上げるためには当然タンパク質を多く摂取する必要がある。肉や卵などを食べるとがん細胞自体にも栄養が行くのではと考えるかもしれないが、先ほど述べたようにがんは「私たちの体細胞の異化(分解)産物」が好物なのだ。つまり良く食べることはがんを兵糧攻めに合わせることになる。
肉、卵、魚、豆類などのタンパク質を十分摂取でき、データを見ながらアルブミン4.0g/dl以上を維持しておけば「自分はがんに勝ちつつある」という自信を持っていい。しかしタンパク質の摂取に苦痛を感じるのであれば、プロテイン、アミノ酸などのサプリを摂取してでもアルブミンの値を維持すべきだ。
タンパク質を食べておけば主食である「お米」や「パン」は食べなくてもいいのではない。タンパク質のみを食べていたのでは、エネルギー源にタンパク質が使用されてしまうため、「お米」や「パン」などの炭水化物も十分食べるべきである。特に太るといって忌み嫌う寝る前の夜食はアルブミンをあげるいい手である。
(夜食を食べすぎると胃腸に負担がかかるため、アミノ酸とおにぎりなどが適切か)
最後にもう一度言いたい。がんに勝つにはアルブミンを上げて栄養状態を良くすることはとても大切である。
がんの栄養療法(ビタミンCについて)
いったんは消え去った超高濃度ビタミンC
高濃度ビタミンC療法は1970年代分子整合栄養医学の祖であるライナスポーリングよって始められた。しかし様々な妨害がありいったんは医療界から忘れ去られていた。しかし2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の研究者が共同で高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として有用である可能性があるという論文をアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表して、約30年の空白を経て再認識された。その後日本でも副作用のない抗がん剤としての認識が広まり東京を中心として急速な広がりを見せている。
いったんは消え去った超高濃度ビタミンC
高濃度ビタミンC療法は1970年代分子整合栄養医学の祖であるライナスポーリングよって始められた。しかし様々な妨害がありいったんは医療界から忘れ去られていた。しかし2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の研究者が共同で高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として有用である可能性があるという論文をアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表して、約30年の空白を経て再認識された。その後日本でも副作用のない抗がん剤としての認識が広まり東京を中心として急速な広がりを見せている。
ポーリング博士のビタミンC健康法(すばらしき延命効果)
ビタミンCの効果を示す統計的なデータはライナスポーリングの著書「ポーリング博士のビタミンC健康法」(村田晃訳)に詳細に述べられている。がん患者の血漿と白血球のビタミンC濃度は著しく低く、がん細胞などを取り込んで消化する能力の低いことを示している。また煙草を吸う方の血中のビタミンC濃度は低下しており膀胱がんの発生が増えることが言われているが、ビタミンCの摂取にて予防できるとしている。家族性ポリポーシスの方は大腸がんになる確率が高いが、ドコス、ライ、ワトスらは16人の家族性ポリポージス症の患者に1日3gのビタミンC投与で半数にポリープの消失をしたと報告した。
1976年エワン・キャメロンはスコットランドの外科医であるがポーリングと共同研究して治療手段のない末期のがん患者100名に対してビタミンCを投与し、ビタミンC投与しない1000名を対照群とした。結果は驚くべきことにビタミンC投与群は4.2倍の生存期間の延長があった。1973年から5年間これと同じような研究が日本の福岡鳥飼病院で行われ、同様の結果を得ている。

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「ポーリング博士のビタミンC健康法」から
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「ポーリング博士のビタミンC健康法」から

経口(口から飲む)ビタミンC 10g
キャメロンらの研究では末期がん患者はある一定期間ビタミンCの点滴を行い、後は10g前後のビタミンCを口から飲ませたものである。ということは延命効果を期待するのは必ずしも点滴のみということではないということだ。がん患者さんの血中のビタミンC濃度は著しく落ちており、このことががんの増大をさせていることと、がんそのものがビタミンCを消費して血中濃度を下げている。つまり原因と結果は常に関連しあって、がんの増大を許してしまう。つまり経口ビタミンCを大量に飲むことで血中濃度を常時高めることががんの増大を防いでいる。
がん患者の選択
ではがん患者はどのような選択をすることが良いであろうか?超高濃度ビタミンC療法は他のがんの代替え医療と比べてみるとリンパ球の免疫療法や重粒子線治療などがワンクールに数百万円から数千万かかるの比べ月に数万円から最大10万円である。しかし点滴が無理だと思えば経口(口から飲む)ビタミンCのみを行うという手もある。元来抗がん剤にはほとんど延命効果はないことが示されているが、それに対して経口(口から飲む)ビタミンCでこれだけの延命効果が実証されていれば飲まない手はなかろう。ビタミンCを投与することで抗がん剤の副作用の軽減も期待できるし、抗がん剤の腫瘍縮小効果も増大し延命に期待できるかもしれない。やはり経口のビタミンCはすべてのがん患者さんが迷わず選択すべきであろう。

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