フェリチン・潜在性鉄不足
潜在性鉄不足の見落とし
鉄不足と聞くと真っ先に思い浮かべるのは貧血だが、立ちくらみなどの症状があるのに病院で血液検査をしても貧血はありませんと言われることが多い。これは潜在性の鉄不足(貧血を含めて)見落としていることがよくある。
病院などで検査する項目にフェリチンといわれる項目があるか否かとそのフェリチンの値の持つ意味を考慮することで問題は解決する方向に行く。

フェリチンとは

ではフェリチンとは何なのか。フェリチンとは鉄をため込むことができる体内に存在するたんぱくでその値と症状で潜在的な鉄不足を発見できる。
一般的な血液検査でフェリチンを調べると男性は30-200ng/dl 女性は5-120ng/dlといった基準値があるが、ではこの範囲内に入っていれば大丈夫なのだろうか。この値は血液検査会社が決めた基準値であり実際の臨床とはそぐわないことがほとんどで、臨床的な基準からすれば女性は年齢によっても違い、例えば30-40歳台の女性であれば50-100 ng/dl程度のフェリチンが必要で、男性であれば少なくとも150 ng/dl以上のフェリチン値が必要となる。男女の差の原因は男性は筋肉量も赤血球数も多く女性に比べ鉄の需要が高いため必要量も高く設定する必要があるということである。この様に鉄の必要量はその人の置かれている状況で解釈も変える必要があるということである。その意味で言えば成長期の子供それも運動をしている方のフェリチン需要はとてつもなく高い。その上それが女性で生理があれば鉄の需要・供給のバランスをもっと壊してしまう。この意味で言えば学童期・思春期の情緒安定に鉄は大きな関与をしている。鉄が脳内の神経伝達物質や神経の伝導速度などに関与しているため鉄不足は精神的な意欲や不安と大きな原因となる。当院でも不登校の子供が時折来られるが鉄の投与にて改善している例は多い。

鉄不足を見つけろ!!

ではフェリチン値がある程度値をクリアできていれば安心していいのだろうか。答えはノーだ。フェリチン値の値が低い時には間違いなく低いのだが、ある条件ではフェリチンは実際の値より高く出てしまう。ある条件とは一つは何らかの原因で炎症が起こっているときである。もう一つは肝障害特に多くみられるのは糖質の過剰摂取によっておこる脂肪肝の時などだ。これらは検査値の他の値から推測することができるが、ここからはやや高度なテクニックを用いて値の分析をする必要がある。

地球は鉄の惑星!

地球のコアは溶けた鉄できていてその周りに固形の鉄がある。地球人として地球に生存する動物として生命は体内の反応を鉄に頼ることを選択したということである。鉄不足を見逃してはいけない理由は鉄不足を改善すれば不足によっておこる症状や疾患が簡単に治るということだ。「間違った診断」にて鉄不足以外の診断をつけられて西洋薬を内服し苦しんでおられる方は多い。

 

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鉄は体内で最大量のミネラルで、本当に体内の多くの反応に関与しています。元来、鉄不足は女性特有のものであり、有経期(生理がある間)の女性は、1月に1度の生理があることで月に60mlの血液が失われます。そのため、ほとんどの女性が鉄欠乏の状態にあるといっていいでしょう。鉄不足によって起こる症状は、鉄の役目を考えることで分かり、例えば次のようなものがあります。
• 体の酸素運搬をつかさどる赤血球を作る
• 筋肉の酸素運搬に関与しているミオグロビンを作る
• 脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)を作る
• 皮膚の抗酸化をつかさどるカタラーゼを作る
• 肝臓の解毒をつかさどるチトクロームP450を作る
これらのほか鉄は神経などにも働きますが、上記のことだけを考慮しても鉄不足は、息切れや肩こり、慢性の腰痛、うつ、自律神経失調症、皮膚の色素沈着(しみ、そばかす)、薬物の副作用など様々な症状の原因となります。鉄不足によって起こる症状を列挙すると、次のようなものになります。

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• 動悸・息切れなど、心臓に負担かかった症状
• 皮膚にしみ・そばかすがあり、皮膚のトラブルが多い
• 慢性の肩こり・腰痛、筋肉痛が出やすい
• 喉につまったような違和感が続く
• 「うつ」「パニック」「神経症」などの精神神経疾患に悩まされる。
• 疲れやすい。など
この鉄不足は、通常の血液検査でもある程度わかりますが、フェリチンと呼ばれる体内の小腸粘膜に貯蔵される貯蔵鉄を計測しないと確かめにくいといえます。 元来、鉄は反応する相手から「電子を奪う」ことで、相手を酸化する「フェントン反応」と呼ばれる反応を引き起こします。 これはいわゆる活性酸素の発生源となり、毒性が発生するのです。そのため、非ヘム鉄などは吸収される際に活性酸素が出現します。 この反応を起こさないためには、鉄がヘムタンパクと結び付いた「ヘム鉄」を摂取することが大切になります。
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上記に鉄不足の症状を記載しましたが、もう少し詳しく述べると、若い女性や激しく運動をする子どもの肩こり、腰痛などは、鉄不足によるミオグロビンの低下、筋肉の酸素不足が一因となります。
また、鉄は脳の神経伝達物質を作る際の重要な要素であるため、鉄不足はうつやパニック障害を引き起こします。そのため、鉄不足が多い若い女性には、うつやパニック障害も多いのです。また皮膚のトラブルは鉄不足と関連しており、しみ・そばかすの多い女性を見ると鉄不足が容易に診断できます。喉の詰まった感じは、鉄不足があると喉に偽膜形成がおきて違和感が出現します。また鉄不足は体全体のコラーゲン不足を引きこしますので、結合組織が弱くなり、体のあちこちの痛みの原因となります。

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