徒手的股関節受動術

中村博整形外科での徒手療法~腰痛に対する徒手的股関節受動術股関節周囲の筋肉の拘縮・痙攣を徒手的に改善し腰痛軽減させる

中村博整形外科では院長および理学療法士たちは他の医療機関で治るのが困難と思われる痛みに対して徒手療法のプロとして様々な技術を駆使して治していきます。その技術的な一面を紹介していきたいと思います。ここで紹介する関節受動術とは、筋肉が硬くなり動きが悪くなった関節に対して、徒手的に柔らかくしたり動きを良くしたりする手技のことです。それもその場限りの事でなく痛みの軽減が持続して、日常生活が楽になることを目的とします。

股関節とは~体幹と下肢をつなぐ重要な関節~

股関節は、体幹と下肢をつなぐ関節で、立ったり、歩いたりするときに重要な関節です。自分で足を動かしてみると分かるかと思いますが、曲げたり、伸ばしたり、開いたり、捻ったりすることができると思います。また、体幹・腰の動きを補う重要な役割もあります。このようにあらゆる方向に動かすための筋肉がたくさんあり、何らかの原因で筋肉が硬くなることで股関節の動きが悪くなると、その働きを補おうとして腰痛・膝痛・足痛の原因になります。筋肉が硬くなる要因をいくつかご紹介していきたいと思います。

腰痛に対する徒手的股関節受動術
股関節周囲の筋肉が硬くなるとき

①股関節の臼蓋形成不全(下肢をささえる屋根が浅い)

股関節周囲の筋肉が硬くなる原因の一つとして股関節の臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)があります。臼蓋形成不全って聞いたことがない人でも「股関節の屋根が浅いね」など言われたことはないでしょうか?骨頭を支える屋根が浅いということは、臼蓋[きゅうがい;股関節の屋根の部分]が大腿骨頭(だいたいこっとう;球状の部分]を十分に覆っていないため、狭い面積で体重を支えることになるので不安定になります。そのため、関節周囲の筋肉が硬くなり動きが悪くなることで、腰痛の原因となります。
臼蓋形成不全があるのかないかは股関節のレントゲンを撮ると分かります。
腰が痛いため整形外科を受診し、腰のレントゲンを撮って問題ないと言われながらもなかなか痛みが改善せず来院される方がいます。当院では長い間腰痛に悩まされて、レントゲンを撮って臼蓋形成不全がみつかり、股関節の動きをよくすることで腰痛が軽減した患者さんもいます。

①股関節の臼蓋形成不全(下肢をささえる屋根が浅い)

股関節周囲の筋肉自体が硬くなるとき・鉄不足について

②股関節周囲の筋肉自体が硬くなるとき・鉄不足について

次に筋肉自体が硬くなる要因として、タンパク質や鉄不足があります。ここでは鉄不足について少し説明させていただきます。なぜ鉄不足で筋肉が硬くなるの?と思われる方もいるかもしれません。筋肉内にあるミオグロビンという酵素は筋肉内に酸素を貯蔵したり必要なところに酸素を運ぶ役割があります。ミオグロビンは血液中のヘモグロビンと同じく活性中心に鉄をもち酸素との反応をして酸素の受け渡しを行います。そのため鉄が不足した状態ではこのミオグロビンを作りにくくなり筋肉内の酸素の受け渡しができにくくなり、筋肉そのものが硬くなったり力が入りにくくなったり痛みが出てしまします。
鉄不足は血液検査を行うことで分かります。
他院では血液検査で、血清鉄やヘモグロビンの数値で貧血と判断されるでしょう。もちろんそのような数値が低いと鉄不足はあります。ただ、血清鉄やヘモグロビンの数値が正常な人でも鉄不足の人はいます。正常な人でもフェリチンの値が低いと鉄不足の症状が現れます。当院では、血液検査の際、鉄不足の指標とするために、フェリチンの値を調べるようにしています。
鉄不足になりやすい人としては、女性、成長期の子供、下痢の人、ピロリ菌のある人、痔がある人、食生活が偏って肉などを食べない人などです

鉄不足なりやすい要因
・有経期の女性は生理によって出血して鉄不足となる
・成長期の子供は骨・筋肉の成長のために鉄の需要が高くなり鉄不足となる
・下痢の人は鉄が体内で吸収されずに体外にでて鉄不足となる
・ピロリ菌の人は鉄の吸収が極端におりて鉄不足となる
・痔・胃潰瘍などの出血を伴う疾患がある人は鉄不足になる
・インスタントものばかり食べて肉などを食べない人は鉄の摂取が不足するため鉄不足となる

股関節周囲の筋肉が硬くなる原因について紹介させて頂きました。次に、股関節周囲の硬くなりやすい筋肉とそれに対する当院での徒手療法についてご紹介させて頂きます。

股関節で硬くなりやすい筋肉
~回旋筋、大腿前面の筋(大腰筋、大腿四頭筋)、大腿後面の筋(ハムストリングス)~

①回旋筋(かいせんきん)

回旋筋とは股関節の深いところにある筋肉で捻る動作や関節を安定させる役割があります。前述した臼蓋形成不全があるときや筋肉自体が硬くなっているケースも多くみられ、この筋肉が硬くなることで股関節の動きが悪くなり腰痛の原因になることがあります。こういった場合に股関節受動術を行っていきます。
当院で行っている股関節受動術は、下記の写真のように理学療法士が仰向けで寝ている患者さんに対して太ももをもって前後、左右とあらゆる方向に動かし、うつ伏せでは車のワイパーのように足を動かしていきます。ここで大事なのは患者さんがリラックスをしておかないと回旋筋は柔らかくならないということです。なので、理学療法士も優しくゆっくりと動かしていきます。

回旋筋(かいせんきん)

②ハムストリングス

ハムストリングスは、太ももの裏にある大きな筋肉です。(陸上やラグビーなどの競技でよく肉離れを起こす部位でもあります) 役割としては、足を後ろに蹴るような動作や膝を曲げることです。この筋肉が硬くなると股関節が曲げにくい状態になり腰痛の原因になることがあります。このような場合に下記のようなハムストリングスのストレッチを行い痛みを軽くしていきます。

ハムストリングス

実際に下記の写真のようにハムストリングスが硬くて前屈運動をすると床に手が着かない方に、先ほど紹介したハムストリングスのストレッチや股関節受動術を行った後にもう一度前屈運動してもらうと、床と手の距離がストレッチ・受動術前に比べ短くなっていることが分かります。

ハムストリングス

③大腿前面の筋[大腰筋(だいようきん)・大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

大腰筋と大腿四頭筋は太ももの前面にある筋肉です。これらの筋肉は股関節を曲げたり、姿勢を安定した状態に保つことに重要です。この筋肉が硬くなると股関節が伸びにくくなり腰痛の原因になることがあります。また、反り腰の原因ともなります。このような場合に下記のようなハムストリングスのストレッチを行い痛みを軽くしていきます。

大腿前面の筋[大腰筋(だいようきん)・大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿前面の筋[大腰筋(だいようきん)・大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

実際に下記の写真のように大腰筋や大腿四頭筋が硬くなり後ろに反りにくいという方に、先ほど紹介した大腰筋と大腿四頭筋のストレッチと股関節受動術を行って、もう一度反ってもらうとストレッチ・受動術前に比べ反る範囲が広がっていることが分かります。
大腰筋や大腿四頭筋の硬い人は後ろに反らす動きを上半身(特に腰)で代償するため、腰に大きな負担がかかり腰痛の原因となります。筋肉が柔らかくなることで、股関節を後ろに伸ばしやすくなり、上半身(腰)での代償も改善され、腰にかかる負担も軽くすることができます。

ストレッチ

最後に

長年腰痛に悩まされていませんか?病院を受診したけど、湿布や飲み薬だけ処方されり、特に腰のレントゲンは問題ないと言われ諦めていませんか?当院では、このように腰のレントゲンだけではなく股関節のレントゲンや筋肉の状態、また血液検査から詳細に評価・分析していくことで腰痛の原因を見つけ出し治療を行っていきます。諦めず、是非ご相談下さい。

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