超高濃度ビタミンC療法

超高濃度ビタミンC療法

どんな治療?
今、最も注目されているガンの治療法です。
ビタミンC60~100gを点滴投与すると、過酸化水素を生成、正常細胞に影響を与えずに癌細胞の核濃縮・細胞死を誘導するというものです。
2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の研究者が共同で高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として可能性があることをアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表し、同じグループの研究者らが高濃度ビタミンC療法が著効した3症例をカナダ医師会雑誌に発表しました。
現在、米国ではカンザス大学やジェファーソン大学で卵巣癌や悪性リンパ腫のトライアルが行われており、また副作用のない癌治療として約1万人の医師・自然療法医・統合代替医療医が導入、米国各地で高濃度ビタミンC点滴療法の研修会が開催されています。

歴史
ビタミンCはもともと癌に良いと言われていましたが、これはビタミンCが免疫力を高めると考えられていたからです。
実は30年前に二度のノーベル賞に輝いた科学者のライナス・ポーリング博士やエヴァン・キャメロン医師らによってビタミンCが癌患者の予後を改善するという医学論文が発表されていたのですが、メイヨークリニックの研究者らによって否定され、この治療は表舞台から消えてしまいました。
2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の研究者が共同で高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として有用である可能性があるという論文をアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表しました。
続いて2006年3月にやはりアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI)や大学の研究者らが過去に高濃度ビタミンC療法が明らかに有効であったという症例を、NIHの基準で見直し、カナダ医師会雑誌に発表しました。
約30年の空白を経て再認識されました。

副作用はないの?
この治療に大きな副作用はほとんどないのですが、先天的にG6PD異常症の方は大量のビタミンC点滴をすることで溶血をおこすため禁忌です。この点滴療法を実施する前に必ず赤血球膜G6PD活性を測定します。
※G6PD:グルコース-6-リン酸脱水素酵素
この測定をしてOKがでれば点滴を受けることが可能になります。G6PD異常症の頻度的はほとんどないといってもいいくらいです。
その他の副作用としては点滴の浸透圧が高いため喉が渇きます。また糖尿病の方が自分で血糖を測定すると偽高血糖(実際は低い)がおこるため10時間ほどは血糖測定を控えることになります。
このこと以外はほとんど副作用はなく他の抗がん剤と比べ遥かに安全な治療と言えます。

適応は?
適応はガンが有名ですが、元来ビタミンCは抗ウイルス作用、コラーゲン生成作用、抗酸化作用(脳なども)などがあり、ウイルス性肝炎、リウマチなどの膠原病、重症のうつや統合失調症などです。

長所・短所
この治療を抗がん剤と比較した際の利点をあげます。

  • 副作用がほとんどない
  • がんに対する抗がん効果と同時に抗酸化・抗ウイルス作用などにて免疫・体力が向上する
  • 抗がん剤の副作用を軽減する
  • 副作用がないため外来での治療が可能である
  • 副効果として肌がきれいになったり、頭髪がはえてきたります

重篤な副作用もなく、いいことづくめなのですが、欠点としては保険で認められていないためすべて自費の診療になることと、施行している医療施設は次第に増えては増えてきていますがまだまだ少ないということです。
適応は「がん」がやはりメインですが、ビタミンCの様々な効果を期待すれば難治性の疼痛や脳の抗酸化を期待する精神科疾患なども入る可能性はあります。この治療法は日本では元杏林大学の教授である柳澤 厚生先生が代表である「点滴療法研究会」が中心になって行っております。

その他の療法

グルタチオン点滴療法とは

どんな治療
元来グルタチオンは肝疾患などに対して険適応で点滴されている製剤で、安全な製剤です。しかし保険適応で使用する量の何倍も点滴すると驚くべき効果を発現します。そのためグルタチオン点滴療法は保険的適応としてではなく自費となります。
グルタチオン点滴療法で最も注目されているのが(1)パーキンソン病に対する治療、(2)抗がん剤に対する神経障害、(3)閉塞性動脈硬化症、(4)デトックス(体内解毒)です。その他、米国では線維筋痛症、過敏性腸炎、慢性疲労症候群、各種神経系疾患、そしてアンチエイジング分野でもグルタチオンの点滴処方をするクリニックがあります。

グルタチオン(glutathione)は組織に広く分布するSH基をもった化合物です。グルタチオン(還元型グルタチオン、reduced GSH)はグルタチオンペルオキシダーゼを介として過酸化水素や脂質ヒドロペルオキシドを還元し解毒します。薬剤としてのグルタチオンは,SH基により体内での抱合反応を賦活して解毒を促進する作用や、抗アレルギー作用があります。なお、グルタチオンの経口投与は腸で吸収されるまでに多くが壊れてしまうため、点滴療法と比べて著しく効果が低くなります。

グルタチオンによるパーキンソン病治療
米国ではパーキンソン病の機能改善と病状進行の遅延を目的とするグルタチオン療法は多くの施設で行われていますが、日本ではほとんど知られていません。本治療は15~30分の静注または点滴です。点滴終了後からで歩行、振戦、バランスなどが明らかに改善する事例もあり、通常は数回の治療で効果を体感します。

この治療の最初の報告は1996年で、パーキンソン病患者9人にグルタチオン600mg i.v.を1日2回、30日間投与したところ、全例で効果が認められ、運動機能の42%が改善しました。また、その効果は3ヶ月持続したと報告されています。
これに注目し、米国で広めたのはPerlmutter Health Center (http://www.perlhealth.com/)のDavid Perlmutterです。グルタチオン療法は現在、南フロリダ大学でクリニカルトライアルが進行しています。Perlmutterによればパーキンソン病に対する効果は80-90%で、グルタチオンがフリーラジカル・スカベンジャーとして働き、ドーパミン受容体の感受性を高めるからであろうと考えています。また、同時にセロトニン受容体の感受性を高めることでパーキンソンの鬱症状の改善も見られます。

スピックサロン・メディカルクリニックでは10年以上のパーキンソン病の病歴がある74歳の男性にグルタチオン療法をしました。嚥下障害、歩行障害、振戦の症状は治療開始後3ヶ月後には劇的に改善しています。5年間続いていた振戦が点滴直後に消失した事例もあります。また北九州市のクリニックからは歩行障害で車椅子の生活をしていた70歳女性が治療開始3ヶ月後に自力歩行を開始したと報告がありました。

マイヤーズカクテル

どんな点滴
米国の代替統合医療のクリニックでは定番の点滴療法です。家庭医のジョン・マイヤーズ医師が考案し、アラン・ガビー医師により米国中に広まりました。インフルエンザ、感冒症候群、慢性疲労症候群、偏頭痛、喘息、うつ病、アスリートの運動能力向上など多くの疾患に有効な点滴療法です。日本ではほとんど知られていませんが、テーラーメイドの点滴の中ではもっとも使い回しの良い治療法として知られています。マイヤーズカクテルの基本はマグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCといった人間の体の中に存在している栄養素だけを配合し、10~30分で静注します。急速にビタミンやミネラルの血中濃度を上昇させることで薬理学的な効果を期待しています。

名前の由来
メリーランド州ボルティモア市の開業医であるジョン・マイヤーズ( John Myers )先生は30年以上にわたり、喘息、慢性疲労、うつ病の患者をビタミンやミネラルの点滴療法で治療することで有名でした。マイヤーズ先生は1984年に亡くなられました。ところがマイヤーズ先生の後を継承する医師がいなかったために、多くの患者が行き所がなくなってしまったのです。

その患者さんの何人かがペンシルバニア州カーリエル市の開業医でアメリカホリスティック医学協会元会長のアラン・ギャビー(Alan R. Gaby)先生を訪ねました。ギャビー先生はマイヤーズ先生の点滴療法に強い関心を持ち、マイヤーズ先生の処方を再現しようと試みたのです。多くのマイヤーズ先生の関係者や患者にインタビューし、点滴処方を現代医学のエビデンスに合わせて改変して再現しました。

ギャビー先生はそれから11年間に外来で1,000人の患者に15,000件の点滴療法を実施しました。2002年にAlternative Medical Review誌(http://www.thorne.com/altmedrev/.fulltext/7/5/389.pdf )にこの点滴療法を紹介し、マイヤーズ先生の功績を讚えて“マイヤーズカクテル(Myers’ cocktail)”と名付けました。ギャビー先生はこれまでに30以上の学会やセミナーで数千人の医師に教育講演をし、全米各地の統合代替医療や自然療法の医師がマイヤーズカクテルを臨床で処方しています。

適応は
ギャビー先生の論文には下記の疾患に有効であると解説をしています。
気管支喘息、偏頭痛発作、全身倦怠・疲労、慢性疲労症候群
線維筋痛症、うつ病、こむら返り、急性上気道炎、慢性副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎、心不全、狭心症、慢性蕁麻疹、
甲状腺機能亢進症、生理不順、麻薬の禁断症状。
上記疾患以外にも、耳鳴、自律神経障害、不定愁訴症候群、インフルエンザなどにも有用と言われています。

ページの先頭へ ▲